今日は、昨日紹介した雑誌の記事を紹介します。
祖父母をどう呼ぶか、ということについての記事です。日本でも「おじいさん、おばあさん」を基本にしていくつかヴァリエーションがありますが、フランスはもっと呼称が豊富です。
記事に入る前に我が家の事情を説明します。
夫は子供の頃、祖父母のことをPépé, Mémé(母方の祖父母) Papy, Mamy(父方の祖父母。Papi, Mamieが一般的な綴りですがうちは手紙などでもこちらを使っています。)と呼んでいたそうです。私が結婚したときはMamyしかいなかったので実際に呼んでいるのを耳にしたのはMamyだけです。
長女が生まれたとき呼び方をどうするか、という話になり、義母は普通にMamyがいいと言い、義父はGrand-pèreを希望しました。「Grand-père & Mamy 」となんとも統一の悪いことになったわけですが、両親は「パパ&とお母さん」、ということになっていたので、その延長のようなものです。そして曾祖母はGrand- mamyと呼ぶことになりました。その他の親類はすべて「おじさん、おばさん」などではなく、名前で呼んでいます。
さて記事のタイトルですが、Petits noms pour grands-parents(祖父母の小さな呼び名)このpetitは愛情がこもった、ということでしょう。
実はこの記事、雑誌の表紙にはGrand-mère et mémé retrouvent la cote(グランメール(おばあさん)やメメ、人気回復)と書いてあったものですから、今はおばあさんの呼び方はマミーが主流のように見えるけれども、ちょっと古い言い方が人気を回復してきた、という記事だと思いました。ところが冒頭から全然違う話になっています。以下原文が青、拙訳が緑、黒字は私です。
Mamie… A ce mot, Sylvie tressaille. « Me faire appeler Mamie, franchement… Pas question ! je trouve ça épouvantable ! et très démodé ; » jeune grand-mère de « pas tout à fait 58ans », Sylvie, aujourd’hui, c’est surtout Mamia. Mamia, pour ses deux petites-filles de 7 et 3ans. «Ça sonne plus rond, plus affectueux. C’est ma marque déposée maintenant, plaisante Sylvie. Ma mère se fait appeler bonne-maman, j’aime bien. Mais comme c’est déjà pris… »
[拙訳]
マミー、この言葉はシルヴィーは身震いする。「マミーと呼ばれるなんて、はっきり言って論外です。ぞっとします。そして全く流行おくれです。」『まだ58歳になっていない』若いおばあさんのシルヴィーは今ではマミアだ。彼女の7歳と3歳のなる二人の孫娘にとってはマミアなのだ。「音の響きが円く、より愛情がこもっています。今の私の登録商標です。」とシルヴィーは冗談を言う。「私の母はボンヌ・ママンと呼ばれていました。この言い方は大好きですが、もう既に使われているので・・・」
マミアなんて聞いたことがありません。変わってます。記事を読むとさらに変な呼び名が満載です。パプー、マムンヌ、マミタ、パピルー、何ですか、これは。知り合いにはボンヌ・ママンを使っている家庭があるます。そしてこの記事の話を長女にしたら、友達のお父さんとお母さんはもう孫がいて、マムンヌ、ダドゥンヌと呼ばれている、と言っていました。ボンヌ・ママンはともかく、なぜこんな変わった呼び名を発明することになるのか。記事にはこうあります。
Difficile, à la naissance du premier petit-enfant, de débaptiser les aïeuls ! Auparavant transmis aux grands-parents, les noms de Pépé, Mémé, Pépère, Mémère sont désormais réservés aux bisaïeuls…
[拙訳]
最初の孫の誕生の折に祖父母の名を改めるのは難しいものだ。昔、祖父母に与えられていたペペ、メメ、ペペール、メメールなどの名前は今では曽祖父母のものとなっている。
普通の名前はもうすでにいるおじいさん、おばあさんに使われているんですね。記事によると、今日56歳の人の二人に一人は少なくとも孫が一人居て、1千三百万人の祖父母と2千万人以上の曽祖父母がいるとのことで、一家に4世代は珍しくないそうです。だから一般的な呼称は既に使われているので、何か別の呼び名を考えなければならない、というわけです。
そして現代のおじいさん、おばあさんは健康で活動的で、昔の年寄りとは心情的にも違うようです。
« J’appelais ma grand-mère « Grand-mère ». elle me paraissait très vieille, toujours vêtue de noir, avec des habitudes de bonne femme. Pour m’en distinguer, je me suis fait appeler Bonne-maman », raconte Nancy…
[拙訳]
「私は祖母を「グランメール(おばあさん)」と呼んでいました。彼女は私にはおばあさんらしい習慣を守りいつも黒い服を着ていて、とても年を取っているように見えました。それとは自分を区別するために、私は自分をボンヌ・ママンと呼ばせました。」とナンシーは語る。
前の世代とは違う、という気持ちから呼び名を選ぶようです。また自分だけのユニークさを求める気持ちもあるようです。他人とは違う自分に価値を求めるフランス人らしい態度だと思います。
« Mamie, ça me plaît, raconte Elyette, 65 ans. Ça évoque pour moi la relation merveilleuse que mes files avaient avec leur propre grand-mère. Et j’ai beau savoir qu’il y a des milliers de mamies, quand mes petits-enfants m’appellent ainsi, ji me sens unique. »
[拙訳]
「マミーという言い方が気に入っています。」、とエリゼット(65)は言う。「それは私の娘たちがおばあさんとの間に築いていた素晴らしい関係を思い出させます。たくさんのマミーが存在することを知っているにも関わらず、孫が私をマミーと呼ぶと自分自身をかけがえのないもののように感じます。」
自分の中で価値が見出せれば、人と同じ呼び名でもいいわけですよね。
祖父母の役割も変わってきたようで、それについても触れられています。
Tandis que fleurissent les dénominations affectueuses, les grands-parents se montrent globalement plus présents et plus proches des petits-enfants qu’auparavant. » Le nouveau style grand-parental est fait de proximité affective et de complicité ; il s’épanouit dans les jeux, les loisirs, il est plus ludique qu’éducatif, du moins dans la forme », explique Martine Segalen. 85% des grands-mères et 75% des grands-pères déclarent ainsi garder régulièrement leurs petits-enfants. Lire des histoires, aller au parc, jouer à des jeux de société sont leurs activités favorites.
[拙訳]
さまざまな愛称が咲き乱れる中、祖父母は全体的に昔に比べて存在感があり、孫に近い位置にいる。「新しい祖父母のスタイルは親近感があり、子供と結託しています。遊びやレジャーで祖父母の力が発揮され、少なくとも表面的には教育的というよりは遊戯的です。」とマルティーヌ・セガランは説明している。祖母の85%と祖父の75%が定期的に孫を預かっている、と述べている。お話を読む、公園へ行く、ゲームで遊ぶ、というのは彼らのお気に入りの活動である。
私の周りにも定期的に小さい孫を預かっている人を何人も知っています。
次の指摘はちょっとにっこりさせられました。
Les petits vont différencier les grands-parents par un prénom, une région, parfois m^me une activité : à côté des « mamie de Nice », on voit apparaître des « papys-vélo » !
[拙訳]
小さい子供は、名前や地方や時にはやっていることで祖父母を区別する。「ニースのおばあちゃん」と共に「自転車のおじいちゃん」というのもいる。
Renée, grand-mère à 47 ans,a ainsi choisi de se faire appeler Mémé : « Un vrai nom de grand-mère ! Je voulais être à ma place, j’assume bien mon rôle et mes années. Et puis, dans Mémé, il y a deux fois Aimée, je trouve ça doux. Cela ne m’empêche pas d’être une mémé moderne, cool, qui emmène ses petites-filles faire les magasins ! »
[拙訳]
47歳でおばあさんとなったルネはメメと呼ばれることにした。「おばあさんの本当の呼び名!私は自分の場所に居たかったのです。私は年齢相応の自分の役割を果たしています。それにメメの中にはエメ(aimée愛されている)が2回あります。とても素敵だと思います。だからってモダンでクールで孫娘たちをショッピングに連れていくようなメメになる妨げにはなりません。」
記事に添えられている統計には、パピー、マミー以外で一番多いのが古くある伝統的な言い方のPépé, Mémé, Pépère, Mémère Grand-père, Grand-mère, bon-papa, bonne-maman,Grand-papa, Grand-mamanなどだそうです。その他は地方独特の方言的な言い方のPapounet, Mamounette(中西部), Papet, Mamet(南仏), Papapa, Mamam(アルザス), Mamonne(コルシカ島), Mamata(プロヴァンス)など。そして英語やスペイン語、イタリア語、ドイツ語の]呼び方、あとは自分たちの家族で変形させてさまざまな言い方が使われているそうです。
呼び名から自分のアイデンティティーや人生観までいろいろ考えて、自分らしい生き方にこだわるフランス人らしい話だと思いました。読みやすい記事ですがその割りに面白いのがこの雑誌の生活関係の記事なのです。機会があればまた紹介したいと思います。
Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。
日本だとどうなのでしょう。ちょっと興味あります。30代でおばあちゃんって方も少なくない傾向ですし、呼ばれ方にこだわる人もいるかもしれませんね。
ふと、思い出しましたが、私は小さいころおばさんのことを「東京のおねぇちゃん」と呼んでいました。物心ついてから、どう言い換えたらいいのか迷った覚えがあります。