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うちのお客さん

 ある4月の金曜日、のえが家にフランス語でmerleと呼ばれる鳥を連れて帰ってきました。日本語では「つぐみ」だと思うのですが、まっくろでくちばしだけ黄色い鳥です。よくいる野生の鳥でうちの庭にもよく来て何かついばんでいます。
 
 のえによると、学校の帰りにバス停から家までを歩いていると、道端に黒いものが落ちているので何かと思って近づくと鳥だったそうです。見た感じきれいなのになぜ動かないのだろうと思ってよく見ると片方の足が変に曲がっていて怪我をしているらしいと気が付きました。車の通るところで動かなくなっているので危ないと思ったそうです。バイオリンと学校のかばんを持っていたので、急いで家に戻り、ばたばたと段ボール箱などを用意して、バイオリンケースの中に入っているバイオリンを拭いたりする布を持って鳥のところに行き、抱き上げようとすると、よたよたとびっこを引きながら歩いて逃げようとしたらしいです。でもちょっとした段があってそこで動けなくなってしまったので、布で包むようにして抱きかかえ、家まで連れて来たと言っていました。抱き上げるとあきらめたのか、すぐ目をつぶってじっと動かなくなり、じたばたと抵抗することはなかったそうです。

 私は2階で仕事をしていたので、鳥がいることを知ったのはしばらく後です。もうのえが用意したダンボール箱に入っていて水とえさが用意されていました。たまたま有給休暇で家にいた夫は一度帰ってきたのえがまたバタバタと出て行ったのでどうしたのかと思った、と言っていました。

 怪我をしていて動けない、このままでは車に轢かれてしまう、と考えて連れてきたわけで、優しい行為ではありますが、だからと言って怪我を治す知識もなければ、鳥の世話の仕方だって知りません。「連れてきてどうなるの?うちはお医者さんじゃないし、第一、病気の鳥を触ったりして、何かの病気が移ったらどうするの?」とちょっとのえを叱りました。正直、面倒なことになったと思いました。随分弱っているようですが、何をなすべきかも分かりませんし、うちにいたら治るというものでもありません。「でも、あそこに放っておくわけには行かないよ。」とのえは言います。さらに「病気ならもっと羽がボロボロになっていると思うけど、この鳥はこんなにきれいだから病気じゃないと思う。」と断言します。確かに足の形が変なので怪我をしているようなのですが、出血は見られず、生まれつきの奇形なのではないかと思ってそう言いますと、「こんな、歩けないし飛べもしないのに、生まれてから今まで生きていられたはずがない。ついさっき怪我をしたんだよ。」と言います。でも、どうやって?鳥が足をくじくってこと、あるんでしょうか。

 最初ダンボールの中に置いた時、べたっと倒れたような形に寝ていたのでもう死んでしまうかと思ったそうですが、すぐ自分で立ち上がったそうで、私が見たときは目をつぶって動かず弱ってはいましたが、鳥らしい姿勢で立っていました。のえが用意した食べ物は飼いウサギのクッキーのえさから取った、鳥が食べそうな穀類でした。それを見ながら、この鳥はうちの庭でみみずなどを取って食べているのではなかったかと思いました。そういうしているうちに、のえはオーケストラのコンサートがあるので「とにかく静かにして、鳥にやさしくしてあげて。」と言い残し、出かけてしまいました。

 私は不潔だし迷惑だと最初思ったのですが、優しい気持ちで預かっているものをあまり非難するのも良くないですし、見ているとさっきより元気になり、頭を動かしきょろきょろ見回したりしていて可愛いですし、もうこうなった以上、治るまで出来るだけのことをするしかない、と思いました。その夜、知人で鳥のことを知っていそうな人に会ったので、この鳥が何を食べるか聞いてみました。返事はC'est un insectivore. (昆虫を食べるよ。)でした。やっぱり!虫なんてないですし、どうすればいいのでしょう。その人はキャットフードなら食べる、と言っていました。それも家にないので買いに行かなければなりません。

 家では世話を仕切れなくて獣医のところに連れて行った場合、費用はいくらぐらいなの?とその人に聞いてみました。(獣医ではないんですが医療関係の仕事をしている人なんです。)すると野生動物だから、私は飼う権利がないので獣医もお金を取る権利がない。だから獣医が世話をするために預かることになり、私の手元には戻らない、と言われました。鳥が助かるならそれでいいかな、と思いましたが、なんせ週末、うちの近所の獣医さんが開いているか分かりません。その人は土曜日の午前中なら開いている可能性がある、と言っていましたが用事が入っていて獣医に行く時間はありません。家に帰ってインターネットでつぐみの食べ物について調べると、食虫鳥用のえさが市販されていることが分かりました。夜遅く帰ってきたのえに私が調べたえさの情報と知人から聞いたことを話し、翌日えさを買いに行って月曜日に獣医さんのところに連れて行こう、と話し合いました。インターネットにりんごの芯も食べると書いてあったので、のえがかじったあとのりんごの芯を鳥の段ボール箱にそっと入れました。

 獣医さんのところに連れて行って断わられたらどうする?と言った私に、「どうして断られるの?」とのえが聞きます。「だって、みんなが怪我した鳥を連れてきたら、預かって忙しくなるだけで儲からないじゃない。」と言ったら、「それでも医者か!」と怒るのえ。そんないじわるなところにはクッキーが病気になっても連れて行かないよね、なんて話し合いました。

 翌日の朝、鳥が死んでいるのではないかと恐れていたのですが、ちゃんと生きていました。りんごの芯を食べた形跡があり、私は見ていませんが夫によると、外に出られないような深めの箱に入っていたのですが、バタバタと音がするので行ってみると箱の外に出ていたのだそうです。少し飛べたってことですよね。庭に出る窓の方に向かっていたので窓を開けるとよたよたと庭に出たそうです。私が見たときは、それで疲れたのか庭にうずくまっていました。でもうちの庭って近所の猫の通り道になっているらしく、時々猫が通るんです。このままでは猫が来ても逃げられないので危険だと考えたのえは、クッキーの住まいの上半分が金網のようになっているので、そこを外して鳥にかぶせました。これで猫が来ても安心。クッキーは水やえさの入れ物も鳥に貸していますし、居場所がなくなって庭で遊んでいました。

 
やはり野生の鳥だから家の中は嫌だろうし、かと言ってこのままずっとクッキーの金網を返してもらえないのも困るのでクッキーの夏の家(→過去記事参照)に入れようということになり、えさを買いにいって、夏の家の用意をして、逃げようとする鳥をなんとか捕まえてそこに入れました。

  入れ物に入れたえさは分からないようだったので、小屋の中に敷き詰めた草の上にえさをばら撒いたところ、ついばんでいるようでした。小屋の中をぴょん ぴょん動いて水を飲んだり、休憩したり、ちょっと飛んでみたりしていて、子供たちと「ちょっと治ってきたみたいだね。お医者さんに連れて行かなくてもいい かもしれないね。」などと言っていました。でもバタバタと飛んではあまり飛べなくて落ちてきて、しばらく変な恰好で倒れていて心配になったこともありま す。動いては疲れてうずくまり、また元気が出てくると動き始める、ということを繰り返していました。

 夜、のえはまたコンサートで出かけ て行きましたが、チッチが庭に鳥の様子を見に行っていました。私も行ったのですが、なぜか水の入った入れ物の中に立っているんです。そこで目をつぶって じっとしていて、「どうして水の中?」とチッチも言っていました。のえが夜遅く帰って来た時にも様子を見に行っていましたが、やはり水の中に立っていたそ うです。チッチは夜はまだ寒いから家の中に入れたほうがいいかもしれない、と言っていたのですが、家の中はやはり嫌いだろうし、今の小屋に入れるのにも怖がらせたと思うので、また捕まえて他のところに入れるのは可哀想だ、治るまで今の小屋に居てもらおう、ということになりました。そして私 が、「なんか入れ物に入れたえさは意味が分からないみたいで、落ちているのを自分で探して食べるのが好きみたいだったからえさをばら撒いたよ。」と話す と、のえが妙に感心したように、「なるほどねー、うん、確かに自分で探すのが好きだよね~、入れ物なんて知らないもんね。」と言っていました。そしてのえ が留守の間、結構元気に歩いていたし、ちょっと飛んだりもしていた、前より治ってきたからこのままどんどん良くなるといいね、などと話し合いました。
夫は土曜の午後から出かけていて留守でした。
 
 日曜日の朝、いつも大抵早く起きるチッチが、
L'oiseau est mort. (鳥が死んでる。)
と知らせに来ました。水を入れたお皿の横に倒れていました。昨夜の姿勢のまま倒れてしまったようでした。

 夜に冷え込んだから寒かったのがいけなかったのでは、とチッチが言いました。「でもいつも夜もお外にいるんだよ。」と言うと、葉っぱとかで暖かくしているんじゃないか、と言います。そうでしょうか。何かかけてやれば良かったのかもしれません。小屋の中だったので、風からは守られていると思ったのですが。

 どうせ死ぬなら、小屋に閉じ込めたりせずに自由のまま外で死んだほうが良かったかもしれない、と思ってそれをのえに話すと、あのままにしていたら車に轢かれて死んでいたと思う、それは可哀想だ、と言っていました。それはそうです。子供たちと、「元気になってきて少し飛べそうになってきていたから、治ると思ったのにね。」「助けようとと思ったけど、だめだったね。」といろいろ話し合いました。夫には電話で鳥の死を知らせました。奈々は「可哀想に・・・」と涙を浮かべていました。

 日曜日もまたコンサートに行くのえに、「死んじゃったから、どこかに埋めないと。連れてきたんだから最後まで世話をしてね。出かける前にきちんとしておいて。」と言い渡しました。新聞紙かキッチンペーパーで包んで埋めたらいいんじゃないか、と言ったら、そんなものは自然にはないから、自然のまま、そのまま埋める、と言っていました。

 家の庭に埋めようとチッチが言っていましたが、「森の鳥だから、人の家の庭なんて嫌がると思う。」と私が言うと納得し、森の静かな場所にしよう、と言いました。
チッチと奈々が飽きて遊びに行ってしまった後、のえが一人で小屋の整理をしていて、森に鳥を埋めに行く、と言って出かけて行きました。場所を探したり穴を用意したりで結構時間がかかるのではないかと思ったのですが、意外にも本当にすぐ戻ってきました。場所はすぐ見つかり、ちょっと目印がしてあるけど大げさなものではない、と言っていました。後でチッチが鳥をどこに埋めたのか知りたがっていましたが、結局のえは誰にも教えませんでした。

 それにしても最期まで「鳥」とか「l'oiseau (フランス語で鳥)」とか呼ばれて、名前もないまま死んでしまいました。でも野生の鳥なのですから、人間のつけた名前なんてきっと欲しくなかったでしょう。私は、やっぱり変に助けたりせず、自由のままで死んだほうが良かったか、と何度も考えました。

 それから一週間後の週末、のえがクッキーの夏の家に水をかけたりして大々的に掃除をしていました。
鳥が死んで倒れていた水入れとして使っていたえさのお皿をクッキーにまた使わせるのは嫌だとのえが言うのでそれは処分しました。今もつぐみをみるとあの鳥のことを思い出します。身近に野鳥がいるというのもあまりない経験でした。

 

 

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プロフィール

Author:まゆの
フランスに住み始めて早17年。2003年からリヨンの郊外に住んでいます。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(19歳)、長男チッチ(15歳)次女奈々(10歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。

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