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戯曲 La cantatrice chauve - フランス語の本

 最近、Eugène Ionesco ウジェーヌ・イヨネスコ(というカタカナ表記のようです。)の戯曲La cantatrice chauveを読みました。

  Cantatrice chauve

 かなり昔ですが、この作品の冒頭部の上演の録音を音声のみ聞いたことがあります。なんだかユーモラスで笑ってしまいました。その後、この劇を見に行くのに誘われことがあり、演劇に詳しい人から「絶対笑える。」と言われました。結局、用事で劇を見に行くことは出来なかったのですが、以来いつか見たい、と思っていました。それで今回たまたま戯曲を見つけたので読み始めました。

 戯曲の良いところはすぐ読み終わることです。普通上演時間を上回る読書時間にはなりませんから。そしてこの作品のフランス語は日常会話レベルですので、語彙も文法も難しくありません。フランス語の基礎文法を勉強した方なら読めるフランス語です。

 しかし読んでいて思いましたが、この作品の難しさはフランス語ではないところにあるようです。まず戯曲を読んで笑えたか、ですが、録音を聞いたときほどは笑えませんでした。やはり滑稽さというのは字ではなく、言い方、表情がもたらす部分が多く、この作品の喜劇としての評価も俳優の演技に左右される部分が多いのでしょう。

 何の予備知識もなく読み始めたのですが、読み始めてしばらくしてこれは従来の演劇を打ち壊すような作品ではないかと思いました。考えてみれば題名がナンセンスです。訳して「禿げの歌姫」。いったいなんですか、これは。さらに読んでみると、歌姫なんて出てきません。(禿げも出てきませんが。) セリフの中で2回ほど「禿げの歌姫」が出てくるのですが、別にそれが主題ではなく、ただ出ただけです。会話自体が前後のつながりがなく会話になっていない部分もありますし、ストーリーと言えるようなストーリーもありません。

 つまりは個々のセリフ、展開は分かっても作品自体が言いたいことが掴みにくいんです。読んでいて、absurdeという言葉が頭に浮かびました。全くもってabsurdeな作品です。absurdeは日本語で「不条理」と訳されるようですが、そんな難しい単語じゃないんですけどね。日常的に使われる言葉です。

 初めの方は舞台がロンドンで登場人物がイギリス人のため、この滑稽さはイギリスを風刺するためかと思いましたが、そういうレベルでは済まなくなっていき、これは人間社会に対する風刺ではないか、それもかなり絶望的になっているのではないか、という気がしてきました。笑いを誘う内容で、実際演劇を見ても笑いが絶えないらしいのですが、ただ笑って終わる作品ではなさそうです。

 実は以前から気になっていたこの作品を手にして読むことになったのは、長女が学校のフランス語の授業のために必要だという同作家のRhinocéros (サイ)という戯曲を一緒に探していた時に見つけたからです。Rhinocérosを一読した彼女は「なんか、変な話。全然つまんない。」と言っていました。学校の友達も皆、同様の感想だったそうです。長女の学校では毎年1-2回テーマに沿った選んだ40-50冊の本のリストを先生からもらい、その中から10冊読みたい本を読む、というプログラムがあります。リストの中にはカフカの「変身」も入っており、中学生がこのような本をただ黙って読んで面白さが分かるのか、ちょっと疑問に思いました。まだプログラムの途中ですから、あとで先生から説明があるのかもしれません。

 ただ読んでもダメだなー、と思ったとき助けになるのは学生のための文学解説シリーズProfilです。レポートや口頭発表などがあると文学部の学生は必ず買うというこのシリーズ、分かりやすい作品分析、作品の背景、文学史上の位置づけなど、ただ読んでいるだけでは分からないことが見えて、作品の持つ意味が分かってきます。大学図書館には置いていないので必要なら買うしかありませんが、安価なので学生でも買いやすいです。私も授業で扱った文学作品で解説本が出ているものは全て買いました。今も手元に残っています。他にも解説本シリーズはありますが、赤い表紙のこのシリーズが一番ポピュラーです。


 Cantatrice chauve exp.

上記二冊とも日本のアマゾンでも扱っているようです。

LA Cantatrice Chauve: Anti-Piece ; Suivi De, LA Lecon : Drame Comique (Collection Folio, 236)

La Cantatrice Chauve La Leconこちらは解説本)

この本の日本語訳を探してみましたが見つかりませんでした。まだ翻訳されていないのかもしれません。

 不条理文学の好きな方、フランス語は初級だけれども文学作品を原書で味わいたい方にはお奨めします。

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プロフィール

まゆの

Author:まゆの
フランスに住み始めて早17年。2003年からリヨンの郊外に住んでいます。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(19歳)、長男チッチ(15歳)次女奈々(10歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。

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