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「グローバル化」の記事 その3

  引き続き、Science Humaines (人文科学)というフランスの雑誌の2007年8−9月合併号からの記事を紹介します。(この雑誌についてはこちら。)Nous n'avons plus d'antipodes 「地球の裏はもうない」というグローバリゼーションについての特集の中の記事です。Christian GRATALOUP という人が書いています。




 前回の紹介の最後に、植民地化と産業革命の関連付ける時、18世紀までの時代とその後の時代を分けて考えたほうがいい、と筆者は言っていましたね。



 19世紀にも植民地化は行われていましたが、この頃の植民地と18世紀以前の植民地とでは、質が違う、という指摘がなされています。19世紀には、オランダのインドネシア植民地化やフランスによるインドシナ支配、があったわけですが、これらは、北アメリカにおけるイギリス、リオグランデ以南におけるスペイン、に比べるとこれらは陰が薄い。イギリス、スペインの殖民は時代がずっと古いにもかかわらず、今も影響を色濃く残しています。このことから、現在の世界地理には、18世紀までの世界情勢のほうが大きく反映されている、という意見を出しています。


 記事より引用します。以下、青字が原文、緑字が拙訳、黒字が私です。

 


  Le fait le plus frappant est sans doute la situation de l’Afrique subsaharienne. C’est moins l’héritage d’une colonisation de quelques décennies (des années 1880 aux années 1960, pour l’essentiel) que celui d’un pillage multiséculaire des ressources humaines qui permet de comprendre sa marginalité.



    一番顕著なのは間違いなくサハラ以南のアフリカの状況だ。それは数十年間の(大体1880−1960年代)植民地時代の名残より数百年の人的資源の略奪の名残のほうが濃く、このことから、グローバル化現象におけるこの地域のアウトサイダー的な立場が理解できる。


 奴隷貿易は大航海時代以前から行われていたそうです。長期に渡って人口の一部を奴隷に取られていたのでは、不安定になりますよね。でもどういう点から、奴隷貿易時代の名残のほうが濃いと言えるのかまでは書いていないのが残念です。


 ここまで紹介してきて思ったのですが、この記事は文体は凝っているのですが、時々飛躍があって分かりにくいです。書いている内容は面白いと思うので、もう少し分かりやすく書けなかったのか、と残念に思います。やっぱり文筆業が本業でない教授が書いたのが悪かったのでしょうかねー。フランスの大学に行って思ったのですが、この国は英語圏に比べて、物事を噛み砕いて分かりやすく説明することが下手です。私の専門は言語学でしたが、大学の基本図書もアメリカ・イギリスで出版されたものを英語で読むほうがずっと分かりやすく、フランス語で書かれた本で初学者向けのは少なかったです。難しいことを簡単に言うのは、難しいことを難しく言うより難しいんですよね。(なんかややこしい文になってしまった・・・。)


 記事に戻ります。

 


  Quelque provocatrice que puisse paraître cette dernière remarque, elle s’inscrit da,s une prise en compte d’héritages de très longue durée largement occultés un temps par l’omniprésence de la marque occidentale. Par bien des traits, il n’est pas absurde de trouver que l’écoumène du XXIe siècle ressemble plus à celui du XIVe qu’à celui du XIXe. L’importance acquise par le Japon  naguère, la Chine hier, l’Inde aujourd’hui, sans doute demain l’Iran, le monde arabe, la Turquie et quelques autres sociétés – ce qu’il est convenu de nommer en jargon diplomatique la « multipolarisation » -- ramènent l’Union européenne, les Etats-Unis et la Russie, bref les très grands acteurs d’hier, à des rôles plus modeste.



 次の意見はいくらか挑発的に聞こえるかもしれないが、これは、西欧がつけた跡が集中することによって隠されていた、長い間に蓄えた(文化的)遺産を考慮した結果である。多くの特色から、21世紀の地球上の居住可能地域が19世紀のそれより14世紀のそれに似ていると思うのは、非常識ではない。かつての日本が、昨日の中国が、そして今日のインドが得た重要性を、明日はイランやアラブ世界やトルコやその他の社会が疑いなく得るだろうが、この重要性---外交の専門用語で「多極化」と呼ぶと決められている−−−は、ヨーロッパ共同体やアメリカ合衆国、ロシア、つまり昨日の偉大な中心国にもっと控えめな役割を与えるだろう。



  ここですよ、ここ! 重要な意見を言っているので引用したんですけど、どうして今が19世紀より14世紀に似ているのか、書いてないんです。今日の記事の最初のほうに、19世紀のオランダやフランスの植民地は現在本国の影が薄い、という点に触れましたが、それだけなんですよ。ちょっと根拠と言うには希薄かと・・・。もっと例を出して詳しく説明して欲しかったです。


 そして、さらに不満を言わせてもらうと、この引用部ですが、前半と後半の間で話が飛躍してると思いませんか。原文のまま引用しているので、私は何も省略していないのですが、いきなり日本が出てきてとまどうじゃないですか!

 思うに、14世紀(?)にモンゴル帝国が崩壊し、それまで文化的にも経済的にも低かったヨーロッパが台頭してきたのは、現在アジアの国が台頭してきた状況と似ている、ということでしょうか。それならそうで、はっきり書いといて欲しいです。



 記事は続きます。



 

Il n’en reste pas moins que la marque initiale de l’Europe dans la constriction du niveau mondial n’est pas prête de s’effacer. Nous en revenons à notre petit-déjeuner. Les rythmes de vie, les coutumes vestimentaires, les manières d’habiter, bref toutes les normes mondialisée de la vie quotidiennes, même si elles peuvent être localement battues en brèche, ont une histoire enracinée dans l’Occident.




 それでもなお、ヨーロッパが世界というレベルの構築に最初に残した痕跡はすぐには消えないだろう。朝食に戻って考えてみよう。生活リズム、服装の習慣、居住方法、要するに日常生活の、世界的に使われている基準は全て。部分的に破られていることがあるにしても、西欧に根ざした歴史を持っているのである。



 この部分は納得できると思いました。そして、科学の概念、倫理的な価値観、芸術的価値観も西欧のものが元となっている、と続きます。今まで通用してきた西欧のコンセプトは正しいが、これからの世界をより深く理解し、よりよく運営していくためには、もっと普遍的なコンセプトにしていくことが必要だ、というのが結論のようです。


 「・・・ようです。」というのは、最後のパラグラフの話が見えないので、自信が持てないからです。文の意味自体が不明の文、一つ(フランス人にも分からない、と言われてしまった。)と文の意味は分かるけど、前後とのつながりがつかめない文が一つ。悩んでみましたが、分かりませんでした。でも記事全体の言いたいことは大体つかんだと思います。


 それにしても、この記事は書き方が悪い、と紹介をしながら、どんどん思うようになりました。記事冒頭で朝食の話から入ったときは鮮やか!と思ったのですがねー。記事の最後のほうでもう一度朝食が出てきたときも、上手く構築されてるかも・・・ぐらいには思ったんですけど、全体的に見て、分かりにくい点が多かったと思います。


 外国語で何かを読んでいて分からないと、こちらの語学力や理解力が足りないのだ、と思ってしまうことが多いですが、必ずしもそうではないですよね。書き方が悪い、ということもあります。この記事が分かりにくくても、あなたの語学力のせいではありません、と思いましょう。


 

 

 
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6件のコメント

[C48] なるほど

>この国は英語圏に比べて、物事を噛み砕いて分かりやすく説明することが下手

そうなんですか。スウェーデン(語)では義務教育で様々な文章の書き方を実践的かつ徹底的に学びます。フランス語はニュアンスのある言葉なので文書に適していると聞きますが文章の構成に関しては特別な教育はされないのでしょうか。

[C49] Sofianさんへ

コメント、ありがとうございます。
学校教育では小論文形式のテストが多く、自分の意見をきちんと述べることは、日本の教育に比べてかなり要求されているように思います。それが悪い面に出た、とでも思うしかないですが、大学レベルになると、学術的で高級なものを書く先生が多く、素人にも分かるような易しい書き方をした本が少ないのです。そういうものは軽んじられているのかな、と思ったりします。

[C72] ふえええ

こんなにわかりやすく書いてくれてるにもかかわらず、3回ぐらい読まないと内容が入ってこない私の頭にショックを受けつつ、改めてあなたはすごい人だなあと思います。
その持てる力の1万分の1でも、私がフランスにいる間に分け与えてくれたら(フランス語レッスンとか)どんなによかったか(泣)。
ところで、話はちょっとそれるんですが、朝食に関してはイタリアに行くたびに苦い思いをしてきます。エスプレッソも苦いんですが、そうじゃなくて。
こっちの朝食って、「甘いもの中心」ですよね。
その正当性を、イタリア人たちが日本の朝食と比較しながら述べたてるわけです。つまり、起き抜けの脳を素早く活性化させるのは糖分だと。
ま、それ自体は正論ですが、他に正解はない、答えはこれ唯一だと言わんばかりに展開されると腹が立ってきます。

[C74] 麻さんへ

いや、この記事ってわかりにくいんですよ。本文にも書きましたが、残念なことです。
 
確かにフランス、イタリア、多分スペインも、甘いものばかりですよね。ジャムや蜂蜜などパンに付けるものやシリアル類は全て甘みがありますし、ジュースやコーヒー、紅茶、ココアなどの飲み物も甘いですよねー。こういうのに慣れている我が家の夫や子供たちは、日本風の朝食が毎日だと嫌みたいです。
 答えはこれが唯一だ、というあたりの展開、欧米人らしい気がします。それを理屈で展開してくるわけですね。イタリア人もフランス人と同じかー。

 でも思うのですが、イギリスの朝食はベイクドビーンズとかマーマイトとかベーコンエッグとか塩気のあるものも出てきますよね。ドイツの朝食も、ソーセージやハムやチーズが出てきませんか?南ヨーロッパの朝食は甘いものばかりで、全体的に量も少なく食べ物の種類が少ないような気がするんですけど。

[C75] そうだ

たしかにドイツはチーズとかハムとかも食べるかも。
で、イギリスにいたっては、もっと種類が広がりますね。
イタリアでも、最近の傾向としては北の人はしっかりめに朝食をとる人も増えてきたとか(っていっても甘いもの)。でも、南の方や年配の方(要するに、コンサバティブな人ね)は、ビスケット2、3枚にエスプレッソだけ、という人も多いんですって。

[C78] なるほど。

前から思っていたんですが、働き者の民族は朝早く起きてしっかり朝食を取り、午前中から仕事に精を出し、お昼は手短に済ませて仕事に戻り、夜はお腹がすくので早めにたっぷり食べて、明日のために早めに就寝する。怠ける民族は早起きはせず、寝ぼけ眼で食欲がないので朝食は軽く済ませる。お昼にはすごくお腹がすいているので時間をかけてたっぷり食べ、午後は昼寝などして、仕事がはかどらない。夕飯は遅めで、夜更かしもするので、翌朝、起きるのが遅くなり、朝は食欲もない・・・の悪循環。旅行でしか行ったことがないですが、スペインは結構このパターンじゃないかと思うんです。イタリアやフランスも伝統的にはちょっとこれに近いかも。

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プロフィール

Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。

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