Sciences Humaines 「人文科学」という雑誌の2007年8月−9月合併号です。題名からして真面目そうな雑誌ですし、あるのは知っていましたが、買ったのは初めてです。L'autre Histoire du monde 「もう一つの世界史」という題字に惹かれたのと、他にも読みたい記事が載っていたので、買ってみました。
雑誌の最後にある広告からして、人文科学系の大学生向けの雑誌、という印象を受けました。
で、列車の中で読んでみたんですけど、最初に読んだ二つの記事があまりにも内容がなくて、がっかり・・・。あんなもの、ここで紹介できません。長いだけでまとまりもないし、中身もない!なんだ、これはー、と足をバタバタさせたくなりました。
2度と買うか、この雑誌、と思ったりもしたのですが、やはりDossierを読まなくては決められない、と思い直しました。フランスの雑誌でDossierと言えば、TIMEやNews Weekで言うところのカヴァーストーリー、日本語なら「特集」というところでしょうか。そう、表紙の写真とL'autre Histoire du mondeという題がこのdossierなんです。この号全体の3分の一ぐらいのページを割いていますし、dossierに一番、力を入れているはずなので、dossierを読まずに評価は出来ない、と思ったのです。
で、気を取り直して読んでみました。悪くないですね。面白いです。というわけで、ここで取り上げる気になりました。
特集の題を見ただけでは分からなかったのですが、Mondialisation、つまり グローバリゼーションに関する記事です。グローバリゼーションはグローバル化、世界化、地球規模か、とも言われますが、多国籍企業の世界的展開、全地球規模の労働分業に伴う相互依存、情報技術の発展による時間と空間の観念の変化によってもたらされた、とされている現象のことです。
グローバル化については、私は批判的な意見のほうをよく耳にしていて、悪い印象を持たれている現象だ、と意識していたのですが、この特集の最初のページには次のように書いてありました。この特集の責任者Laurent TESTOTの文章のようです。以下、青字は原文、緑字は拙訳、黒字は私です。
Les avocats du libre-échange voient la mondialisation comme une force de progrès relevant les niveaux de vie partout sur la planète, quand les critiques la perçoivent comme un moyen d’exproprier les ressources des pays pauvres pour les enchaîner à la dette. Les protagoniste de ce débat se retournent de plus en plus vers l’histoire pour exiger des réponses : la mondialisation est-elle une nouveauté ? Le monde est-il occidentalisé ?
自由な交流の擁護者は、グローバル化を地球上の全ての地域の生活水準を高める推進力と見ているが、批判者たちは、貧しい国の資源を買い上げ借金に縛りつけるための方法だと考えている。この論争の主導者たちはますます歴史にその答えを見つけようとするようになってきた。グローバル化は新しい現象なのだろうか。世界は西欧化されているのだろうか。
グローバル化という言葉を聞いたことがあっても、私自身は突っ込んで調べたりしたことはなく、何の知識もありませんでしたが、漠然と、悪いことばかりではないと思うんだけど・・・、と思うこともありました。ここで、グローバル化を擁護する人たちの存在を知り、少し納得しました。
この特集は、近代化、グローバル化を西欧化の歴史だとする見方に疑問を投げかけているようですね。確かに日本の明治時代は、近代化=西洋化だったのではないかと思いますし、アフリカやアジアの国でも共通に見られる事物は西欧に起源を発するものなのではないか、と思ったりします。
この特集は別々の人が書いたいくつかの記事によって出来ているのですが、その最初の記事を書いたのが先程挙げた責任者で、彼の記事の冒頭部分に次のように書かれていました。
Des courants récents analysent les dynamiques intercivilisationnelles qui ont façonné l’actuelle mondialisation.
現在のグローバル化を作り上げた、異文化交流間で培われた活力を分析するのが最近の流れだ。
そうですか。現代は異文化交流が重要視されているわけですね。ふむふむ。そしてこの記事は次の文で結ばれています。
…. la modernité est davantage le produit d’une hybridation des cultures et des civilisations que le triomphe des valeurs occidentales.
現代性は、西欧の価値観の勝利よりも、むしろ、いくつかの文化や文明が混ざって出来たものである。
これは最近のWorld or connected Hhstory、フランス語ではhistoire globale ou géo-histoire の研究結果の、今のところの結論、として挙げられています。
現代カルチャーって、詳しい知識があるわけではないですが、なにやら雑多な印象を受けますよね。出所の全く違う無関係なものを混ぜてミスマッチを楽しんだり、今までになかったミクスチャーを提供したり。面白いけど支離滅裂、行き詰ってるんじゃないの?と思うこともあるんですが、そういう見方もあったんですね、となんだか納得しました。
で、ここまでがこの特集の導入でした。次回、私がこの特集のメインだと勝手に断定した記事を取り上げる予定です。
社会のグローバル化、経済力の強い先進諸国が、発展途上国を経済的な植民地として利用する為だけの謳い文句だったら悲しいですね。
異文化交流とか、違う人種同士の理解を深めるとか、そっちの方面をもう少し頑張って欲しいですね。
ステレオ・タイプな偏見はなかなか無くならない気がします。