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フランスの新聞ル・モンドより

 今回紹介するのは、リクエストもあった、言わずと知れた大新聞 Le Monde ル・モンドの記事です。

 実は前にオオカミの動物園についての記事をここに載せたときから、動物園のオオカミ見学の司会者がメディアでのオオカミの取り上げ方を問題視していたのが気にかかっていたのです。そこでル・モンドのサイトで検索して見ました。そこで最近の記事を見つけたので紹介します。(この記事はオンラインで読むことが出来ますが、2ユーロ要ります。ル・モンドのサイトでloupsで検索して見てください。一部抜粋は無料で読めます。)


     オオカミ

以下、いつものように原文は青字、拙訳は緑字、黒字は私です。


2007年7月22日の記事です。記者はNathalie Grynszpanです。題名は、


Le retour du loup affecte les paysages alpins


「オオカミの復帰、アルプスの景観に害」


自然の生態系を取り戻そうと、昔は居たのにいなくなってしまったオオカミを人工的にアルプスに放したそうですが、その結果についての記事のようです。



« On abandonne des zones de pâturage et certains endroits se referment, ce qui entraîne une perte de biodiversité », souligne Pierre Guelpa, directeur de la Société d’économie alpestre de la Savoie. Si les surfaces en cause ne pèsent pas très lourd au regard des centaines de milliers d’hectares d’alpages de la région, en revanche « elles exercent un fort impact paysager », ajoute M. Guerlpa.


 アルプス(オット・サヴォワも含む)に来て15年、オオカミは景観は生態バランスを崩す原因となっている。オオカミから保護するために家畜の群れを集めておかなければならなくなったことがその理由である。この状況は自然区域の管理人を心配させ始めている。「牧草地を放棄し、閉鎖しているところもある。これは生物の多様性を失わせることになる。」とサヴォワのアルプス経済組合長、ピエール・ゲルパ氏は強調する。問題となる場所は、何十万ヘクタールかのこの地方の高地牧場全体から見れば大した広さではないにしても「景観には大きな影響を与える。」とゲルパ氏は付け加える。


昔見た「アルプスの少女ハイジ」というアニメで、ペーターが毎朝やぎを集めて山の上に連れて行き、夕方やぎと共に村に帰ってくる、というシーンが度々あったことを記憶していますが、この記事によると、羊の放牧は夏じゅう昼夜、羊を放し飼いにしておくのが普通だったようです。ところがオオカミに襲われる危険が出てきたため、夜、羊を囲い込むようになりました。そこで以下のような問題が出てきて、去年の6月の研究学会で取り上げられたようです。


Les chercheurs mettent en avant la concentration des déjections animales sur un espèce réduit. Selon, leurs calculs, cela équivaut à un apport de 21kg d’azote par nuit sur une surface moyenne de 1600m2 pour un troupeau de 1600brebis. L’étude souligne « l’urgence et la gravité des problèmes de l’accumulation et de l’absence de gestion des déjections aujourd’hui en montagne ».




研究者たちは動物の排泄物が狭い範囲に集中することを第一に言う。計算によると、1600頭の羊のための平均面積1600m2の広さにつき、一晩21kgの窒素を出していることになる。「今日の山では排泄物の堆積とその処理がなされていないことは、緊急且つ重大な問題である。」と研究レポートは強調している。




羊をどこかに集めることになれば、羊が来なくなって放置された牧草地と、羊が多すぎて混雑している縛装置と、2極に分かれてしまいます。羊をオオカミから守りながら牧草地の管理の点でも有利なやり方を見つけていかなければいけないわけです。しかし別の問題もあります。羊の種類の違いです。



Si les grands troupeaux transhumants du sud des Alpes sont composés de race grégaires, habituées au gardiennage, les troupeaux résidents des Alpes du Nord, de 450 à 1200 têtes, sont souvent constitués d’animaux pris en pension provenant de petits élevages de brebis de pays habituées à la liberté et donc difficiles à regrouper.



季節によって移動する南アルプスの大型の群れは、集団を好む種類から成っており、監視されるのに慣れているが、北アルプスの群れは、450頭から1200頭ほどで、地元の小規模牧畜農家から預かっている羊から成っており、これらの羊は自由に慣れている。つまり集めて管理するのが難しい。



なるほど、自由に山を歩き回っていた羊ですから、集団行動に慣れていないわけですね。牧畜農家としても、今まで放し飼いにしていた羊を一年中管理しなければならないわけで、労力的にも大変でしょうね。この記事は最後に以下のような識者の発言を引用しています。




« Notre crainte est qu’ils soient obligés de retourner à des pratiques intensives avec des effectifs plus réduits, ce qui va à l’encontre totale d’une logique agri-environnementale »


「私たちが恐れているのは、農家が人員を減らし、徹底的に採算を取るやり方に戻らざるを得なくなることです。それは農環境の論理に全く反することです。」


 自然の生態系を取り戻すために導入されたオオカミが、今あるバランスを崩すことになってしまったわけで、皮肉な話です。オオカミにとっては、人間の判断で連れてこられた結果、人間の都合に合わず邪魔者扱いされて気の毒な話です。自然は人間の思うとおりにはなかなか操作出来ないということでしょうか。


 この記事、前に紹介したTéléramaの記事よりは短く、素直で読みやすいと思いましたが、いかがでしたか。


 ここで、この記事を読んでいて私が困った点を白状しておきましょう。

この記事の最初のほうはtroupeax (動物の群れ)とかanimaux (動物の複数形)ばかりで、何の動物なのかはっきりしません。「アルプスって羊だったっけ?」と思いながら読んでいました。終わりの方でovin  (羊類)とbrebis (雌羊)という言葉が出てきて、やっと羊だということが分かって安心しました。

 それからもう一つ。最後に引用した文章の中のeffectifs(実数、定員数)を最初、「従業員数」だと思ったのですが、読んでいるうちに羊の数かも、と思い始めました。はっきりしないので、夫に聞いて見ると「確かに曖昧だ・・・。でもeffectfsと言ったら普通は人間のことじゃないのかなー。」ということでした。それで、従業員が減らされて、世話も手薄になり、羊にとってはますますつらい状況、ということで、「人」と解釈しました。
















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2件のコメント

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[C36] クロスさん

コメントありがとうございました。そうですねー、単語が難しいのがあったかもしれないですね。単語リストも別に作ろうかと思ったんですけど、分からない単語は人によって違うとも思って、やめました。
 VOCABLEという新聞をご存知ですか。英語版やスペイン語版があり、ニュースやその解説や単語リストが載っているフランスの語学学習者向けの新聞です。これの英語を読んだことがありますが、単語リストは痒いところにまったく手が届かない。知っている単語ばかり説明が付いていて、知らないのは載ってない。フランス人とは分からない単語が違うのだ、と思いました。この経験以来、どうもこの種の単語リストに懐疑的です。

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Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。

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