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サンテグジュペリの飛行機を撃墜したドイツ人パイロットが見つかる

 すいさんのコメントよりリンクのあった、朝日新聞に載ったアントワーヌ・サンテグジュペリの飛行機を撃ち落したドイツ人パイロットについての記事を読みました。(すいさん、ありがとうございました。)

 私は最近TVニュースを見ていませんし、ラジオのニュースは聞くのですが、週末でしたので聞きませんでした。南仏の地方紙La Provenceに載ったとして朝日新聞に紹介されていましたので、フランスでも当然話題になったはずですが、私は知りませんでした。

 調べてみると、昨日のルモンドにもこんな記事が載っていました。

「アントワーヌ・サンテグジュペリはドイツ人パイロットに撃墜されていた。」
(どうも上手い訳が出来ず、座りの悪い見出しですみません。)

 ルモンドの記事内にリンクが貼ってありますが、もとのLa Provenceの記事はルモンドよりずっと詳しいです。

Ils ont retruvé le pilote qui a abattu Saint-Exupéryという記事です。

 私はサンテグジュペリの飛行機が離陸したまま行方不明になってしまった、ということは聞いて知っていましたが、サンテグジュペリが軍用偵察機に乗っていたとは知りませんでした。どこかで読んだサンテグジュペリについての文章で「亡骸を残さずに去った」としていたのが印象に残っていました。

 記事によると、このドイツ人パイロットはレーダーに敵機が映っているというので出動命令が出て、基地を離陸、サンテグジュペリの乗った偵察機の後を付けて、撃墜したそうです。海に落ちていく飛行機からパイロットが脱出するのは目撃しなかった、ということですから、飛行機と一緒に海に消えたわけですね。

 このドイツ人パイロットはこの数日後に、撃墜した敵機のパイロットがサンテグジュペリだった、と聞いて、そうでないことを祈った、今も祈っている、という言っています。サンテグジュペリの愛読者で、記事に以下のような発言が載っていました。

  Dans notre jeunesse, nous l'avions tous lu, on adorait ses bouquins. Il savait admirablement décrire le ciel, les pensées et les sentiments des pilotes. Son oeuvre a suscité la vocation de nombre d'entre nous.J'aimais le personnage. Si j'avais su, je n'aurais pas tiré. Par sur lui.

 [拙訳]
 若いころ、私たち(パイロット)はみんなサンテグジュペリの作品を読みました。彼の本が大好きでした。空やパイロットの考えや気持ちを見事に描写できる作家でした。彼の作品は我々の職業選択を促しました。私は登場人物が好きでした。もし知っていたら、撃たなかったでしょう。サンテグジュペリは撃ちませんよ。

 このドイツ人パイロットはその後ジャーナリストとして活躍したそうですが、このサンテグジュペリ撃墜事件には触れないでいました。どうしてそれが今明るみになったかというと、マルセイユ沖に沈んでいる飛行機を調べていて、サンテグジュペリの乗っていたものだと特定できたので、撃墜したパイロットを探すために(そういう協会があるそうです。)当時のパイロット一人一人に電話していて、このRippert元操縦士が「自分だ。」と名乗ったとのことです。

 自分が愛読していた作家の飛行機を撃墜したのは自分かもしれない、と長年思いながら黙っていたこのパイロットの気持ちをついつい考えてしまいました。

 記事によるとサンテグジュペリはプロヴァンス上陸作戦の準備のための偵察に出ていたそうです。プロヴァンス上陸作戦はこのブログでも以前触れたことがありますが、(その過去記事はこちら。)旅行中に訪れたことがきっかけでこの上陸作戦を知ったこと、サンテグジュペリはリヨンゆかりの作家であることからも、なにかと感慨にふけることになった記事でした。


 

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3件のコメント

[C639] いたたまれないですね

戦争は、個人がなくなりますから、
この特定がどういう意味をなすのかはわからないのですが
非常に辛い運命ですね。
私もサンテグジュペリの飛行機が見つかったり
その語のニュースは気になっていましたが、
この飛行士も生きていたとはそれに驚きました。
この記事の掲載に感謝です。非常に興味深く拝見しました。
彼が所属していたのは、うろ覚えですがドイツ国境の近くで、コルシカ島から飛び立った‥‥という記憶があるのですがその辺も気になりましたので、また調べたくなりました。

[C641] 感激です!

まゆの様、ありがとうございます。
こんなに詳しく知ることができて嬉しいです。
日本でもそんなに大きく報道されていたわけではないのです。TVのことはちょっと判りませんが、新聞には載りませんでした。ネットで小さな記事を少し見ただけです。

特にそのパイロットの言葉がちゃんと解って幸いでした。
こちらで紹介されていたのは最後の「彼だと知っていたら撃たなかった」の部分だけで、私は「今更何を調子の良いこと云ってるのさ〜」と悪い印象を抱いていました。
実際はそういう文脈だったのですね。自分が好きなだけではなく世界中で愛されている『星の王子さま』の作者を撃ち落としてしまったという秘密は、きっと長きに渡り彼を苛んだことでしょう。
その重さと、探し当てられた時の気持ちを想像するととても責める気にはなれません。
戦争が蒔いた悲しみの種は、今もまだたくさん残っているのですね。

とても心に残るお話でした。重ねてお礼申し上げます。
  • 2008-03-18
  • すい
  • URL
  • 編集

[C642] コメントありがとうございます。

*mineさんへ
 
 本当ですね。戦争というものの残酷さを別の意味で見たような気がした記事でした。生き残った人も重荷を背負い続けてきたってことですものね。
 リンクをつけた新聞記事内にサンテグジュペリはコルシカ島から発った、と書いてありましたよ。

*すいさんへ

 私もすいさんがコメントを残して下さらなかったら知らないで過ごしていたと思います。お知らせくださり、本当にありがとうございました。
 
 そして今回のすいさんのコメントを見て、言葉の一部を引用しても全体は伝わらず、誤解の元ともなり得る、と改めて思いました。新聞記事では本当はどういう文脈だったのかまでは全部書けないことも多いと思うので、読み手としては注意が必要だという事ですね。

 本当ですね。とても責める気にはなれませんね。名乗り出るのも勇気が要ったと思います。もしかして公表したことでほっとされているかもしれませんね。戦争という特殊な状況下で起こったこととは言え、長年苦しみを抱えていたと思うと、いたたまれない気持ちになります。
 
  • 2008-03-18
  • まゆの
  • URL
  • 編集

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Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。

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