先日、ちょっとした事件がありました。
2月にしては暖かく、天気も良かったので、3歳の奈々は、庭にお人形やぬいぐるみを出して遊んでいました。ときどき窓越しに様子を見ていましたし、奈々が庭に出るドアの窓ガラスをトントンと叩いて、私に笑顔で合図しに来たりもしていました。
美容院に奈々の髪を切りに行く予定だったので、台所から庭に向かって出るドアから
「奈々ー、もうすぐ出かけるよー。」
と声をかけたところ
「はーい。」
と返事がありましたが、姿は見えませんでした。奈々が居間の窓のそばに行っていると台所からは見えない造りになっているので、姿が見えないのはそれほど気になりませんでした。それから2-3分経ったところで、本当に出かけられる状態なのか確認したほうがいいと思い(服がどろどろになっていたり、という可能性もありますし。)、もう一度、声をかけました。
「奈々ー!」
「はーい。」
また姿が見えないので、今度は私も庭に出ました。でも奈々が居ないんです。うちの庭から家を通らないで外に出る木戸は鍵がかかっていて、奈々が一人で外に出ることは出来ませんから、庭にいるはずの奈々がいない、ということが変です。
「どこにいるのー!?」
「ここー。」
「どこー??」
「ここー。」
声のする方を探してみると、垣根の向こう側にどうやって入り込んだのか、奈々がいました。うちの垣根の向こう側には隣の家の垣根があり、その間に金網があります。奈々は垣根の枝が少ないところをくぐって行ったらしく、隣の家との境の金網にまたがっておりました。
「そんなところに入っちゃだめでしょう。」
「ウサギがいる。Il y a des lapins. C'est pour voir les lapins.(ウサギがいるの、ウサギを見るためなの。)」
隣の人が飼いウサギを庭に放していたのを、垣根の間から奈々が見て、ウサギのところへ行こうとしたようです。
「そっちは人のおうちだから勝手に入っちゃだめ。すぐ戻ってらっしゃい。」
と叱りました。でも
「出来ないー。お母さん、来てー。」
と言うんです。見ると、金網に服が引っかかっていました。私は助けに行こうにも、垣根の間や下は通れませんし、隣の庭へ勝手に入る道などありません。
「お母さんはそこへは行けないのよ。」
と言うと泣き出してしまいました。奈々の姿勢と服の引っかかり具合からして、奈々自身で引っかかっているのをはずすのは無理でした。
隣の人に頼んで庭に入れてもらうより仕方がありません。留守だったらどうなるのか、と思いながら隣のドアのチャイムを鳴らしたところ、返事がありました。事情を説明すると、快く中に入れてくれました。隣のご夫婦とともに庭へ向かうと、庭の垣根の金網に奈々が引っかかって、宙ぶらりんで泣いていました。
隣のご主人曰く
「泣き声は聞こえていたんですが、うちで泣いているとは思わなかったので。」
そりゃ、そうです。
隣のご主人が、奈々を抱き上げて、金網から下ろしてくれました。お礼を言って、涙で濡れた顔の奈々を抱いて家に戻りました。「変なところから行っちゃだめ。あそこは通るところじゃないの。」と説明しながら・・・。
奈々の涙を拭いて、予約時間に遅れ気味で美容院へ向かいました。
美容院ではずっと上機嫌だった奈々が帰り道、隣の家の前を通った時、
「ここ、ウサギ。」
と言いました。
「お庭にウサギが居たんでしょう。」
「うん。」
「でも、変なところから隣に行かないでね。」
「J'étais coincée... (私、引っかかってた。)」
これで分かったようですから、もう垣根からの不法侵入はしないと思います。今回は隣がお留守でなくて運が良かったですが、これがお留守だったら、救出はもっと難航したはずです。お隣さん、ご迷惑をおかけして、すみませんでした。
Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。
まるでアリスの絵本のような素敵なエピソードですね。
私も小さい頃は色々とやんちゃをしたので(身内にはいまでも「飛んでる」と言われますが)懐かしく重ね合わさせていただきました。