今日も奈々が選んだ絵本の紹介です。Les Rêves d'Angèle Molinot(アンジェル・モリノーの夢)という本です。表紙を見ても地味で、この本の何に惹かれて奈々が選んだのか不思議に思うような絵本です。
登場人物は表紙に出ているおばあさん、アンジェル・モリノーとその夫(名前は分かりません。)の二人だけで、この二人の間の会話のみで本が構成されています。一言で言えば奥さんのアンジェルが夢を語ります。したいことや空想物語の類ですが、それを一言いうと、ご主人が無愛想な返事をします。妻の話を無視して別の質問をしたり、ひやかしたり、それがどうした、という態度です。それがいかにも長年連れ添ってきた夫婦らしくて、絵の表情も雰囲気が出ていてにやりとさせられます。
でもこれって、小さい子供が読んで面白いのでしょうか。
いかにも静かに暮らしているお年寄りの夫婦という感じで、イラストも派手なところがありません。二人の様子も、夫の無愛想の中にも、実は二人の仲は決して悪くない雰囲気が漂っています。
この本の場面は夢を語るためではなく、日常生活の作業をしながら会話をしているという設定です。最初は、夫が服のボタンが取れてしまったので探しているところから始まり、最後は「で、ボタンは付けたのか?」と言うのが夫の最後の台詞です。
そして日常会話の中で次々と夢を語るアンジェラ。その夢は荒唐無稽なものだったり、極小さなことだったりします。そして本の最後に小さな字でこう書いてあります。
Et toi, à quoi rêves-tu? (で、あなたはどんな夢があるの?)
途方もない夢も含めていろいろな夢を聞いたあとなので、考えさせられてしまいます。
でも、こういう本って子供にとって面白いのでしょうかねー。周囲に親切なお年寄りが多いので、お年寄りに親近感を持っているようですから、このおじいさん、おばあさんの絵に親しみを感じたのかもしれません。
とにかく実に渋い本なのでした。
Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。
奈々さんの本選びはひねりが効いていますね。
私がまず読んでみたいと思ったのは、最初の『Les petits curieux』。
今回のアンジェルおばあちゃんのお話は、なんとも哲学的。大人のための絵本のようにも見えますが、小さな人をも惹き付ける何かがあるのですね。
最後の読者への問いかけに、どきりとします。