ポンピドゥー・センターで印象に残った作品の紹介を続けます。
会場内に小さな入り口のようなものがあり、別室に入れるようになっていました。狭い入り口をくぐって入ったところはこんなところでした。
Joseph Beuys ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)というドイツの芸術家のPlightという作品です。
私は知りませんでしたが、下のような本が出ているところを見ると有名な人のようです。
この部屋は写真でも大体分かりますが、奥行きがあり、かなりの広さがあります。その割りに天井の低い、ちょっと息苦しい感じのするところでした。特徴は写真のように壁一面にフェルト地を巻いたロールが並べられています。入った入り口の両側に既にこのロールがあり、変に思ったのですが、全壁面がぎっしりフェルト巻きで埋まっています。そしてそのフェルトの匂いが立ち込めていて、その中にグランドピアノが置いてあります。防音の部屋なのかな、と思いました。でもピアノの上には黒い板が置いてあり、その上には寒暖計があります。だからピアノの形はしているけど、音が出ないピアノなのかな、と思いました。そしてこの一種異様なスペースは何なのか、と興味を持ち、壁の解説を読みました。
興味のある方はクリックで拡大してお読みください。
作品の題となっているPlightは辞書によると、苦境、窮地、そして誓い。(意味深長ですね。)
解説によると、この作品はもともとロンドンのキャラリーに作られたそうで、それを全くそのままここに復元したようです。
この作品には「隣の建物の工事の騒音を和らげる」という指示が出ていました。そして作者は静寂と騒音を対比させるような作品を作ると約束して製作したそうです。
解説には、中に入ると、暖かさと守られているという感じを覚え、同時に世界から切り離された孤独を感じる、と書いてあります。私は守られている感じは受けましたが、暖かさよりは息が詰まる感じがしました。そして隔離されている気がしました。作品の意図したことを大体感じ取っていますね。
音が出ないピアノと音を吸収する素材。解説ではアンビヴァレンスという言葉が使われていますが、矛盾した空間ですね。
しかし、「隣の工事、うるさいなー。」というところからこういう哲学的な作品を生み出すとは、芸術家って凄いですね。作者ボイスはどういう顔をしてフェルト巻き巻きをやっていたのか考えながら、作品を後にしました。
私は現代アートの前では製作中の製作者の気持ちを考えてしまう変な癖があります。あの大きくて大量のフェルトのロールもそうですが、この美術館にはミニマリストの作品もあり、真っ白い巨大なキャンバスが作品、というものもあります。ただの白なんですが、近寄ってよく見ると、筆の跡が残らないように、丁寧に絵の具が塗られているのが分かります。キャンバスも大きいですが3枚もあるんですよ。作者の苦労が偲ばれます。余程大きな意図や意志でもないと出来ない作業だと思うんですよ。その意図はよく分かりませんけど。
これは邪道的な鑑賞法ですよね、きっと。
Author:まゆの
フランスに住み始めて早16年。フランス語に限らず語学や語学学習にはいつも関心を持っています。フランス生活についても、個人的な視点で書いていこうと思っています。家族はフランス人の夫プー、長女のえ(12歳)、長男チッチ(8歳)次女奈々(4歳)の5人、プラス2007年8月23日から飼い始めたうさぎのクッキー。
鑑賞の仕方もわかりません。
いつも、始めから、『この中で一個だけあげるって言われたら、どれを選ぶか?』って視点で見ています^^;
絵画だけでなくて、こんなふうに立体の作品だったら、
そこに入ったり触れたりで、鈍感な私でも、何か感じるかな^^?